ファイナンシャルプランナー(以下FP)の知識は以下のように多岐にわたります。
- 家計管理
- 医療費や介護費用、年金などの社会保険
- 老後の生活設計
- 教育資金
- 住宅資金
- 生命保険や医療保険
- 税制
- 相続・事業承継
- 不動産
- 資産運用
このように日々生活していくうえで意識してお金を使っているもの、無意識のうちにお金を使っているもの、お金の使い道がよくわからないものまでさまざまです。
ここでは、医療費や介護費用、年金などの社会保険についてFPの関わり方について説明していきます。
1.社会保険の種類
例えば、病院に行ったときに受付に保険証を提示すると思います。
これは公的な医療保険を受けられる証明となります。
このように意識していなくても社会保険との関わりがあります。
ここでは社会保険の種類について説明していきます。
①公的医療保険
公的な医療保険を利用することで医療費を全額負担することなく診察が受けられます。
負担額は年齢によって違いがありますが、1割~3割負担することになります。
そのほか以下のような場合も公的な医療保険を利用しています。
・入院時の食事代
・65歳以上の入院時の食事代と居住費
・1か月の負担額が限度を超えた時
(高額療養費)
・出産育児一時金
・出産手当金
・傷病手当金(業務外の病気やケガ)
・埋葬料
このように一般的に理解されている医療保険制度の使い方以外にもさまざまな利用方法があることがわかりますね。
②公的介護保険
公的介護保険は自分が介護状態になった時に利用する保険制度です。
公的な介護保険制度だけでなく民間の保険会社の介護保険サービスがありますが、年齢や認定方法が異なるので確認しましょう。
介護保険を利用することになった場合、介護サービスの計画(ケアプラン)を立てる必要があります。
ケアプランは自分で立てることもできますが、ケアプランの作成依頼もできます。
作成依頼は保険に含まれているので、わからない場合は作成依頼をした方が良いです。
介護保険の保険料の支払いは40歳以上となっていますので40歳以上の方は給与明細に「介護保険」というものがあるか確認してみてください。
介護保険は自分が介護状態になった場合に自分で手続きができない場合もあるので家族と介護保険の内容を共有しておきましょう。
③公的年金
公的年金は老後の人生の重要な資金となります。
一般的には国民年金(基礎年金)や厚生年金など自分がもらえる年金と理解していると思いますが、他にもいくつか用途がありますので、紹介していきます。
国民年金と厚生年金
国民年金は全員が支給対象ですが、厚生年金は会社員や公務員など厚生年金保険料を支払っている人が対象となります。
年金は原則65歳以上から支給されますが、繰り上げ受給や繰り下げ受給が認められています。
遺族年金
年金を受給する対象者が死亡した場合に遺族年金という形で家族に支給されます。
受給の条件は国民年金と厚生年金と異なります。
例えば国民年金は子供がいる場合には遺族基礎年金が支給されますが、子供がいない場合には支給されません。
厚生年金は遺族厚生年金が支給されますが、支給される配偶者の年齢によって支給条件が異なります。
そのほか年齢や条件によって支給される遺族年金がありますので、もしものために支給される内容を確認しましょう。
障害年金
病気やけがで障害者となった時に、障害の等級によって国民年金と厚生年金でそれぞれ障害年金が支給されます。
国民年金と厚生年金で障害等級によって支給される内容がことなりますので、確認が必要です。
また、初診日の条件や認定日の条件によって支給内容も変わります。
年金制度については20歳から保険料を支払う必要があるため負担に感じると思います。
しかし老後にもらえる年金だけなく死亡した際も支給されるためそれぞれのシチュエーションを理解して利用しましょう。
③労災保険
労災保険は事業者が保険料をすべて負担しているため、実際に労働災害にあたらないとなじみがないと思います。
労災保険は正規従業員だけでなくパートやアルバイトを含めたすべての労働者を対象としていることが重要です。
業務災害
仕事中の病気やケガに会った時に支給されます。
例えば工事現場で働いてケガをしたような場合に支給されます。
また、仕事中にトイレに行った時に転んでけがをしても業務災害と認められます。
会社によっては業務災害をゼロにするような運動があり、なかなか小さな災害は報告しにくい場合があります。
しかしながら、業務上の災害は認められている保障なので、しっかり対処しましょう。
通勤災害
会社などの働き先に通勤中にに災害やけがに会った時に支給されます。
ただし、通勤災害は会社から認められた通勤経路から外れた場合は支給されない場合があります。
帰りに買い物や病院に行った時のような日常生活に係る内容であれば通常の通勤経路に戻って災害にあった場合に通勤災害が認められます。
労働災害でケガなどをした場合は、無償で治療を受けることができます。
また、労働災害で休まなければいけなくなった場合は休みの4日目から休業補償金が支払われます。
労災は過労死の問題でたびたびニュースになっています。
労働をする上で労働者は災害の保障があるということを理解しておきましょう。
④雇用保険
失業した際に支払われる失業給付が有名ですがそれ以外にもいくつ種類があります。
求職者給付
失業した時に支給されます。
ただし、失業したからといって簡単に支払われるわけではなく、ハローワークに行って働く意思がある(求職)ということを示す必要があります。
一般には失業保険という言い方をしていますが、正確には求職者を救済する保険となります。
給付については、自己都合の有無や雇用保険の支払った期間、年齢によって支払われる期間が異なります。
高齢者雇用継続給付
60歳以上の65歳未満の働く意思のある人が以前の賃金よりも安い場合に支給されます。
雇用保険を支払っていれば給付の権利はありますので賃金がどのくらい下がったか把握しておく必要があります。
介護休業給付
家族が要介護状態になって休業しなければならない場合に支給されます。
家族の要件は配偶者と子供だけでなく父母、祖父母や孫、兄弟姉妹、配偶者の父母まで含まれます。
支給期間や支給金額が決まっていますので、家族が介護状態になった場合は確認してみましょう。
育児休業給付
育休手当といわれるものです。
通常は1歳未満の子を養育するために支給されます。
休業開始後180日とそれ以降で支給される額が異なるので注意が必要です。
雇用保険はパートタイマーなどでも要件を満たすと対象となりますので、給与明細の中に「雇用保険」の項目があるか確認してみましょう。
2.FPはどのように関わってくるのか
社会保険制度についてひとおり説明してきました。
そこでFPがこれらの制度についてどのように関わってくるのか説明します。
・一般的な情報だけでなく最新情報も説明できます
現在はインターネットで検索すればほとんどの情報は入手できます。
しかしながらその情報が正しいかどうか判断が難しい場合があります。
FPは正しい情報と最新の情報を理解していますので説明ができるわけです。
・ライフプランを作成していれば、ライフプランの見直しがすぐできる
ライフプランを作成していれば、社会保険制度を利用するようなライフイベントに遭遇した場合に、ライフプランを追加して修正することが可能です。
その結果将来のライフプランの対策が立てやすくなります。
・それぞれの社会保険制度を利用する場合に試算できます
例えば1か月の医療費が高額になった場合にいくら戻ってくるのか試算することができます。
また失業した時に失業給付金がどのくらいもらえるか試算することができます。
・手続きの書類の作成や手続きの代行は社会保険労務士の資格がないとできません
例えば年金の支給の手続きは自分でもできますが、手続きを代行してもらえるのが、「社会保険労務士」の有資格者です。
他の社会保険の手続きについても同様ですので、FPに相談する際に社会保険労務士の資格があるのか手続きを代行してもらう方法はないのかなども合わせて確認してください。
3.まとめ
今回は社会保険制度の説明とFPが社会保険にどのように関わっていくか説明しました。
社会保険制度はさまざまなシチュエーションで利用できる制度がたくさんあります。
何か困ったことがあったらFPに相談してみてはいかがでしょうか?