住宅ローンの変動金利を続ける前に確認したい3つの数字

変動金利で住宅ローンを返済していると、金利上昇のニュースを見て、

「このまま変動金利を続けてよいのだろうか」
「固定金利へ変更した方がよいのだろうか」
「繰り上げ返済や借り換えを検討した方がよいのだろうか」

と迷うことがあります。

現在の返済額を問題なく払えていても、金利がさらに上がった場合の返済額や、家計全体への影響まで確認できている方は多くないかもしれません。

私自身も、FPの勉強をする前は、金利が上がった場合に毎月返済額がいくらになるのかを計算していませんでした。

当時は住宅ローンを払えているかどうかが中心で、返済額が増えた場合に、教育費や老後資金などへどのような影響が出るかまでは詳しく確認していませんでした。

現在は1級ファイナンシャル・プランニング技能士・CFP®認定者として住宅ローン相談を行う一方、私自身も変動金利で住宅ローンを返済しています。

この記事では、変動金利を続ける前に確認しておきたい次の3つの数字を整理します。

  1. 金利上昇後の毎月返済額
  2. 返済額が増えた後の家計余力
  3. 収入減少や支出増加があった場合に、手元資金で対応できる期間

借り換え、固定金利への変更、繰り上げ返済、現状維持のどれかを一律に勧める内容ではありません。

それぞれの効果と家計への影響を確認し、自分の家計に合った方法を考えるための記事です。

金利上昇による負担は減らしたいが、家計全体で考える必要がある

住宅ローン金利が上昇すれば、支払う利息や毎月返済額が増える可能性があります。

そのため、追加の利息負担を減らす方法を検討することは大切です。

主な選択肢には、次のようなものがあります。

  • 繰り上げ返済をして元金を減らす
  • より低い金利の住宅ローンへ借り換える
  • 固定金利へ変更して、今後の金利上昇リスクを抑える
  • 現在の変動金利を継続する

ただし、利息を減らすことだけを優先すると、手元資金が少なくなったり、変更後の返済額が増えたりして、家計全体が不安定になる場合があります。

例えば、繰り上げ返済をすれば将来支払う利息を減らせますが、その分だけ預貯金や、NISA口座で保有している投資信託などの資産が減ります。

借り換えでは金利や毎月返済額が下がっても、事務手数料や登記費用を含めると、総額ではメリットが出ない場合があります。

固定金利への変更は、必ずしも利息を減らす方法ではありません。主な目的は、将来の金利上昇リスクを抑え、今後の返済額を安定させることです。

まず金利上昇の影響を確認し、その後に対策による効果と家計への影響を比較することが大切です。

確認したい数字① 金利上昇後の毎月返済額

最初に確認したいのは、金利が上がった場合の毎月返済額です。

「金利が上がると返済額が増える」ことは分かっていても、実際に毎月いくら増えるのかを自分で計算するのは簡単ではありません。

まず、次の情報を確認します。

  • 現在の適用金利
  • 住宅ローン残高
  • 残りの返済期間
  • 現在の毎月返済額
  • 元利均等返済か元金均等返済か
  • 次回の金利や返済額の見直し時期

これらは、金融機関から届く返済予定表、Webサービス、返済額変更のお知らせなどで確認できます。

一つの金利ではなく複数のケースを確認する

将来の金利を正確に予測することはできません。

そのため、一つの金利だけで判断するのではなく、複数の金利上昇ケースを確認します。

私は現在の適用金利から、

  • +1.0ポイント
  • +2.0ポイント
  • +3.0ポイント

上昇した場合の返済額をシミュレーションしています。

例えば、現在の金利が1.0%の場合、+1.0ポイントは2.0%になるという意味です。

実際にどこまで金利が上がるかを当てることが目的ではありません。

それぞれのケースで、

  • 毎月返済額がいくら増えるか
  • 年間ではいくら増えるか
  • 家計がどこまで対応できるか

を確認することが目的です。

毎月の差額だけでなく年間の負担も確認する

仮に、金利上昇によって毎月返済額が1万円増える場合、年間では12万円の負担増加になります。

同じ水準の負担増加が10年間続くと、単純計算では120万円です。

実際の返済額や総返済額は、住宅ローン残高、残りの返済期間、返済方法、金利が上がる時期などによって異なります。

金融機関などの住宅ローンシミュレーションを利用し、複数の条件で確認しましょう。

金利が上がっても返済額がすぐに変わらない場合がある

変動金利の住宅ローンには、金利が上がっても毎月返済額をすぐには変更せず、一定期間ごとに見直す商品があります。

ただし、返済額が変わらなくても、返済額に占める利息の割合が増え、元金の減り方が遅くなる場合があります。

返済額の見直し方法は、金融機関、商品、返済方法によって異なります。

「返済額が変わっていないから影響がない」と考えず、自分の契約内容と、元金・利息の内訳を確認することが大切です。

住宅ローン金利が上昇した場合の影響や、返済額が見直される仕組みについては、次の記事でも整理しています。

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確認したい数字② 返済額が増えた後の家計余力

次に確認したいのは、返済額が増えた後に、家計にいくら余力が残るかです。

返済額が増えても支払えるのであれば、問題がないように見えるかもしれません。

しかし、住宅ローンだけを見て判断すると、教育費、老後資金、住まいの維持・管理費などに影響が出る可能性があります。

家計余力は、次のように考えます。

家計余力
=毎月の手取り収入-生活費・住宅ローン・予定している貯蓄や積立

住宅ローンや生活費を支払い、必要な貯蓄をした後に、毎月いくら残るかを確認します。

重要なのは、返済額が増えても支払えるかだけではありません。

返済額が増えた後にも、必要な支出と貯蓄を続けられるかを確認する必要があります。

教育費や老後資金への影響も確認する

私自身、現在は子どもが成人しているため教育費の負担はありませんが、以前は住宅ローンを返済しながら教育費も支払っていました。

子どもの進学時期と住宅ローンの返済額増加が重なれば、家計への影響は大きくなります。

教育費の負担がない家庭でも、老後資金、車の買い替え、医療費などの準備が必要です。

家族構成やライフステージによって、返済額増加の影響を受ける支出は異なります。

戸建てとマンションでは住まいにかかる費用が異なる

戸建ての場合は、次のような費用を考えます。

  • 外壁や屋根の修繕
  • 給湯器や水回り設備の交換
  • 雨漏りや設備故障への対応
  • 庭や外構の維持費

マンションの場合は、次のような費用があります。

  • 毎月の管理費
  • 修繕積立金
  • 管理費や修繕積立金の増額
  • 大規模修繕時の一時金
  • 駐車場代

戸建て、マンションのどちらであっても、住宅ローン以外に住まいを維持・管理する費用がかかります。

住宅ローンの返済額が増えても、これらの費用を準備できるか確認しましょう。

家計余力の確認例

仮に、必要な支出と予定している貯蓄・積立を差し引いた後の家計余力が5万円あり、住宅ローンの返済額が1万円増えれば、残る家計余力は4万円です。

数字だけを見ると、まだ対応できると感じるかもしれません。

ただし、その4万円で、物価上昇、住まいの突発的な修繕、収入減少などにも対応できるか確認する必要があります。

返済額の増加分を補うために貯蓄や積立を毎月1万円減らす場合は、教育費や老後資金などの準備額が年間12万円減ることになります。

住宅ローンを借りすぎているかどうかは、年収に対する倍率だけではなく、返済後の家計余力から確認する必要があります。

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確認したい数字③ 手元資金で対応できる期間

3つ目に確認したいのは、収入が減ったり支出が増えたりした場合に、手元資金で何か月対応できるかです。

現在の収入と支出だけを前提にすると、家計状況が変わったときに対応できない可能性があります。

収入が減少する場合

収入が減る原因には、次のようなものがあります。

  • 定年や再雇用
  • 転職
  • 休職
  • 病気やけが
  • 残業代や賞与の減少
  • 家族の働き方の変化

住宅ローンが定年後も続く場合は、現在の収入だけでなく、定年後や再雇用後の収入でも返済を続けられるか確認する必要があります。

支出が増加する場合

支出が増える原因には、次のようなものがあります。

  • 物価上昇による生活費の増加
  • 子どもの進学などによる教育費
  • 戸建ての修繕費
  • マンションの管理費や修繕積立金の増額
  • 車の購入や買い替え
  • 医療費
  • 家族に関する臨時支出

一時的に発生する支出と、毎月継続する支出を分けて考えます。

手元資金で対応できる期間を計算する

基本的な考え方は、次のとおりです。

対応できる期間
=すぐに使える手元資金÷家計悪化後の毎月の不足額

例えば、すぐに使える手元資金が240万円あり、収入減少などによる毎月の不足額が10万円であれば、単純計算では24か月分です。

ただし、240万円のすべてを住宅ローンや生活費に使えるとは限りません。

近いうちに必要な教育費、住まいの維持・管理費、車の買い替え、税金、医療費などがあれば、その分を除いて考える必要があります。

また、預貯金などのすぐに使える資金と、NISAで保有する投資信託などの価格が変動する資産は分けて確認します。

必要な時期に投資商品の価格が下がっている可能性もあるためです。

3つの数字を確認した後に比較したい4つの選択肢

3つの数字を確認した後は、次の4つの選択肢を比較します。

選択肢主に確認すること
変動金利を継続する金利上昇後も家計余力と手元資金を確保できるか
固定金利へ変更する変更後の返済額を家計が受け入れられるか
住宅ローンを借り換える諸費用を含めた総額でメリットがあるか
繰り上げ返済をする利息軽減効果と返済後の手元資金のバランス

変動金利を継続する

変動金利を継続することは、何もしないことではありません。

金利上昇後の返済額、家計余力、手元資金を確認し、一定期間ごとに見直すことが必要です。

借り換え、繰り上げ返済、固定金利への変更を比較した結果、現時点では変動金利を継続するという判断もあります。

固定金利へ変更する

固定金利へ変更すると、金利が固定される期間中は返済額が安定します。

一方で、変更時点の固定金利が現在の変動金利より高ければ、変更直後から返済額が増える場合があります。

また、一定期間だけ金利を固定する固定期間選択型では、固定期間終了後に再び金利や返済額が変わる可能性があります。

将来の金利を正確に予測することはできません。変更後の返済額と残りの返済期間を確認し、返済額が安定する安心感のために増える負担を、家計が受け入れられるか比較することが大切です。

変動金利と固定金利の基本的な違いについては、次の記事で整理しています。

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住宅ローンを借り換える

私は、数社の銀行のホームページにある借り換えシミュレーションを利用しました。

試算した範囲では、借り換えによって金利が下がり、毎月返済額も減る結果になりました。

しかし、事務手数料や登記費用などを含めて総額を比較すると、私の場合はメリットが出ませんでした。

借り換えでは、金利と毎月返済額だけでなく、次の項目を確認します。

  • 借り換え後の総返済額
  • 事務手数料
  • 登記費用などの諸費用
  • 残りの返済期間
  • 団信の保障内容

繰り上げ返済をする

繰り上げ返済は、住宅ローンの元金の一部を予定より早く返済する方法です。

元金を前倒しで返済するため、将来支払う予定だった利息を減らす効果があります。

私は、繰り上げ返済額を2つの金額に分けてシミュレーションしました。

確認したのは、次の項目です。

  • 支払利息をどの程度減らせるか
  • 毎月返済額や返済期間がどの程度変わるか
  • 繰り上げ返済後に手元資金がいくら残るか

私の場合は、NISA口座で保有している投資信託を売却し、その資金で繰り上げ返済することも選択肢になります。

ただし、利息を減らす効果だけでなく、返済後も教育費、老後資金、住まいの維持・管理費などに必要な資金を残せるかを確認する必要があります。

借り換え、繰り上げ返済、固定金利への変更、現状維持については、次の記事でも詳しく整理しています。

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私が現在、変動金利を続けている理由

私は現在も、変動金利で住宅ローンを返済しています。

変動金利が今後も必ず有利だと考えているからではありません。

私は、金利上昇、借り換え、繰り上げ返済、固定金利への変更をそれぞれ検討しました。

利息を減らす効果だけでなく、諸費用、変更後の返済額、手元資金への影響を比較した結果、現時点では変動金利を継続しています。

そのため、変動金利を継続している間も、返済額、家計余力、収入減少や支出増加への備えを定期的に確認しています。

返済額、家計余力、収入減少や支出増加への備えを確認し、状況が変わったときに再検討できる状態にしておくことが大切だと考えています。

自分で確認できることと、専門家と整理したいこと

住宅ローンの見直しでは、自分で確認しやすい部分と、複数の条件を使って比較した方がよい部分があります。

自分で確認しやすいこと専門家と整理したいこと
現在の適用金利複数の金利上昇ケース
住宅ローン残高固定金利への変更後との比較
残りの返済期間借り換えの諸費用を含む総額比較
現在の毎月返済額繰り上げ返済とNISA継続の比較
毎月の収入と支出教育費や老後資金を含む家計への影響
預貯金などの手元資金定年後や収入減少後のキャッシュフロー
銀行のシミュレーション価値観やリスク許容度に合う選択肢

すべてを専門家に任せる必要はありません。

まず自分で確認できる数字を整理し、判断が難しい部分だけを相談する方法もあります。

まとめ

変動金利を続けるかどうかは、住宅ローン金利の上昇だけでは決められません。

金利が上がれば、支払う利息や返済額が増える可能性があります。

そのため、繰り上げ返済や借り換えなどによって、追加の負担を減らせないか検討することは大切です。

一方で、利息を減らすことだけを優先すると、手元資金が不足したり、教育費、老後資金、住まいの維持・管理費などに影響が出たりする場合があります。

まず確認したいのは、次の3つの数字です。

  1. 金利上昇後の毎月返済額
  2. 返済額が増えた後の家計余力
  3. 収入減少や支出増加があった場合に、手元資金で対応できる期間

そのうえで、変動金利の継続、固定金利への変更、借り換え、繰り上げ返済を比較します。

現状維持も、3つの数字とほかの方法を比較したうえで選ぶ、一つの判断です。

数字を確認し、ほかの方法と比較したうえで、現在の家計では変動金利を継続するという判断もあります。

大切なのは、住宅ローンだけではなく、教育費、老後資金、資産形成、住まいの維持費を含めて、家計全体から考えることです。

変動金利を続けるか迷ったときは、住宅ローンと家計を一緒に確認します

金利が上がったからといって、すぐに借り換えや固定金利への変更が必要とは限りません。

一方で、返済額や家計への影響を確認しないまま、現状維持を続けることにも注意が必要です。

おさだFP事務所の「住宅ローン健康診断〔借入後診断〕」では、現在の住宅ローン内容を確認したうえで、

  • 金利が上昇した場合の返済額
  • 返済額増加後の家計余力
  • 収入減少や支出増加への手元資金
  • 借り換え、固定金利への変更、繰り上げ返済、現状維持

を家計全体から整理します。

特定の金利タイプや返済方法を一律に勧めるものではありません。

現在の家計で変動金利を継続できるのか、何らかの見直しを検討した方がよいのかを、数字を確認しながら一緒に整理します。

どの相談を利用すればよいか迷っている方へ

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現在の状況を伺い、どのような確認が必要になりそうかを整理します。

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